「ミミズのいる土は腐っている」という情報を目にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
このような情報を目にすると、「自分の庭や畑は大丈夫だろうか?」と不安になるかもしれません。
しかし、実際には「ミミズがいる土=腐っている」と判断するのは少し説明が不足しています。
この記事では、「ミミズが土に多い」ということがどういう土の状態を表しているのか、ミミズがいるということで家庭菜園や畑にどのような影響があるのか、についてくわしく解説いたします。
ミミズがいる土は腐っているというのは本当なの?
そもそも、土にミミズがいるから「土が腐っている」というのは誤解を生む解釈です。
ミミズが土にいるということは、土の中に適度な有機物が含まれており、それをエサにする生物が生息できる環境であるということです。
確かに「未分解の有機物が含まれる」ということは、まだ土壌が改良途中にあるという解釈もできます。
また、ミミズ以外にもカビや菌類、線虫なども生息しており、これらの生物はミミズと同様に有機物の分解もしますが、野菜の根を腐らせてしまったり、病気にさせてしまうこともあるのです。
ミミズが適度にいる状態であれば良いですが、多すぎる場合にはそれだけ未分解の有機物が多く含まれる、ということなので、その状態を「腐っている」と表現する人もいるということです。
しかし、厳密に言えば腐っているというよりは、ミミズが多く生息するような状態は「まだ土壌改善の途中であり、野菜など植物を植えるには時期尚早」というのが適切な解釈かもしれません。
ミミズがたくさんいる土はいい土なの?
ミミズが多い土は、エサとなる有機物が多く含まれた状態、ということなので、「いい土になる可能性を秘めた土」という方が正確でしょう。
ミミズは土の有機物を食べ、分解して糞として排出します。
このミミズの糞は、植物の成長に必要な栄養素を多く含むほか、土壌の構造を改善する効果もあります。
さらに、ミミズが土の中で活動することにより、土が自然と耕され柔らかくなり、通気性や水はけもよくなります。
ミミズがほとんどいない土はいい土なの?
逆にミミズがほとんどいない土、というのはあまり土として良い状態とは言えません。
なぜなら、畑にミミズがほとんどいないということは、それだけミミズのエサとなる有機物が存在しないか、農薬や化学肥料などを使いすぎていたり、酸味の強い野菜などを育てている可能性が想定できるからです。
特に農薬や化学肥料を使いすぎてしまった場合、ミミズはこれらも一緒に食べてしまうため、最終的に死んでしまいます。
また、一方でミミズは酸味の強い野菜にはあまり近づかないという習性があるので、ネギや玉ねぎ、にんにくなどを育てている畑の場合は、ミミズがほとんどいない可能性があります。
土にいるミミズの種類や数によって土の状態が違う
ミミズと一口に言っても、さまざまな種類がいます。
主に畑などに生息するのはフトミミズ、シマミミズ、どちらかであることが多いです。
どの種類のミミズがどれぐらいいるのか、によって土の状態を把握する判断基準になります。
フトミミズがいる場合
フトミミズは、大型のミミズで、地表近くの有機物をエサとします。
よく「ミミズは畑を耕してくれる」と言われますが、それはこのフトミミズのことです。
フトミミズは地表近くにトンネルを作るため、雨水を土に浸透させたり、土の中に酸素を供給したりする役割を果たしています。
フトミミズがいる、または多い土というのはそれだけ有機物が豊富にあり、通気性が良い土であることを意味します。
シマミミズがいる場合
シマミミズは釣り餌などにもよく使われるミミズです。
フトミミズとは異なり、有機物の分解に特化しているのが特徴です。
シマミミズは有機物が多く含まれるようなたい肥や腐葉土に好んで生息します。
よく「ミミズがたくさんいる土は腐っている」と言われているのは、このシマミミズが腐った土壌に生息し、その土に含まれる有機物を分解しながら土壌改善をしていく品種だからでしょう。
シマミミズがいる、または多い土というのはそれだけ有機物が豊富にあり、また今後シマミミズの影響により土壌が大きく改善し、野菜や植物の生育に良い土になる可能性を秘めていることを意味します。
ミミズが土にいることによって得られる効果
ミミズがいることで、土に次のような良い効果が生まれます。
- 土壌改善効果
- 土の中の微生物を増加させる効果
- 植物の成長補助効果
それぞれ具体的にどのような効果なのかをくわしく解説します。
土壌改良効果
ミミズが土を堀り進めることで、土壌が自然に耕されます。
その結果、土の通気性や排水性が向上し、植物が根をはりやすくなるのです。
また、ミミズの糞には、植物の成長に必要な栄養素が豊富に含まれるため、それが植物の成長をサポートしてくれます。
土の中の微生物を増加させる効果
ミミズは有機物を食べ、それを分解し、糞として排泄します。
それを栄養源とするさまざまな微生物が生息しやすいような環境を作るのもミミズがもたらす良い効果の1つです。
微生物の数が多いほど、土の健康状態は良くなります。
ミミズの糞は特に土の中の微生物の数を増加させる効果が高く、土壌全体の健康状態を向上させる効果があるのです。
植物の成長補助効果
ミミズの糞には、窒素、リン、カリウム、といった植物の成長に必要な栄養素が豊富に含まれています。
つまり、ミミズが土に生息し、有機物を食べ、糞をすればするほど、土の中に植物の成長に必要な栄養素が増えていく効果が得られます。
また、窒素、リン、カリウムなどの中で、植物が吸収しづらいとされる「リン」を吸収しやすい形に変換してくれる、といったこともしてくれるのです。
ミミズが多いということは土壌がミミズによって改善されている最中!
ミミズが多いということは、土壌が改善されている最中であり、さらに今後植物が育ちやすい土壌になる可能性を秘めているということを示しています。
肥料などに頼ることなく、自然の力で土壌が元気を取り戻している証拠です。
実際に有機農業や自然農法などでは、農薬や化学肥料をつかわずとも、ミミズの活動によって土壌が健全に保たれるという意図で、ミミズの働きが特に重要視されています。
そのため、決して「ミミズが多いから土が腐っている」という訳ではありません。
健康で活力や可能性に満ち溢れた土壌である、という証拠です。
誤解しないようにしましょう。
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