ミミズコンポストは生ごみをミミズに食べてもらうことで、ゴミの排出を減らせるエコなコンポストです。
生ごみを減らすと同時に、たい肥を作ることができるため、家庭菜園やガーデニングをしている方は有機肥料を手に入れることができ、一石二鳥です。
エコな暮らしができるミミズコンポストですが、置き場所をどこにするか悩む方も多いのではないでしょうか。
キッチンに置くと生ごみをすぐに捨てられて便利ですが、キッチンが狭くて置けない場合や、ミミズや生ごみを室内に置いておくのは気が引けるという方は、屋外に置くのがおすすめです。
ミミズコンポストを屋外に置く場合は、工夫やコツがいります。
この記事では、ミミズコンポストを屋外に置く手順や、気を付けたいことをご紹介します。
ミミズコンポストを始めたい方は参考にしてください。
ミミズコンポストを屋外で運用する手順
ミミズコンポストを屋外で運用する手順をご紹介します。
①必ず排水できる入れ物を用意する
ミミズコンポストを始めるにあたって、容器の準備が必要です。
専用の容器を使うのも良いですし、DIYで手作りしても良いです。
深さが20~45㎝程度の容器で、不透明なものにしてください。
屋外で運用する場合は、直射日光が当たらないように蓋か、防草シートを被せてください。
そして、必ず排水できるものを用意してください。
屋外にコンポストを置くと、雨水が容器に入ってしまいます。
ミミズは湿った環境を好みますが、びしょ濡れは苦手で、排水できないと溺死してしまいます。
DIYなら、容器に穴を開けておきましょう。
屋外でミミズコンポストを運用するにあたって、容器にすると便利なのがバスタブです。
もちろん小さめのベビーバスでも構いません。
バスタブは初めから穴が空いているうえ、排水のための傾斜が付いているため、雨水をスムーズに排出することができます。
ミミズコンポストの入れ物は、ミミズが死んでしまわないように、必ず排水できるものを用意しましょう。
②排水穴からミミズが逃げないように防虫ネットを敷く
排水穴が空いた容器を準備したら、容器の内側に防虫ネットを敷きます。
排水穴からミミズが下に落ちてしまわないためです。
一枚では小さなミミズが落ちてしまうため、何重かにして敷くと良いです。
③竹炭を敷き詰める
竹炭にはコンポスト内のpHを整える役割があります。
pH とは酸性具合を表す指標のことで、値は1~14まであり、1に行くほど酸性になり、7が中性、それ以上がアルカリ性になります。
ミミズはpH5.0~9.0の間で活動します。
弱酸性~弱アルカリ性の間で生きることが可能ということです。
しかし、生ごみを入れていくとコンポスト内は酸性に傾きやすくなります。
そこで最初に炭を入れておくと、コンポスト内のpHが整えられ、過度に酸性になることは防げます。
もちろん日頃から、生ごみと一緒に卵の殻などの炭素を入れてあげることで、酸性に傾いた環境を中和することも可能です。
また、炭には脱臭効果もあるため、生ごみの臭いを取ってくれる効果も期待されます。
④腐葉土や新聞紙など床材を敷く
床材とはミミズのベッドとなる部分です。
ミミズは土や砂の中に住んでいるため、住処として床材が必要になります。
床材は腐葉土や新聞紙などがおすすめです。
新聞紙はカラーインクが付着しているものは避け、できるだけ細かく切ってあげましょう。
⑤ミミズを投入する
用意が済んだらシマミミズを投入します。
使うミミズはシマミミズを選んでください。
日本で見かけるミミズのほとんどはフトミミズで、ミミズコンポストには向かない種類です。
捕まえてきたミミズはコンポストには使えません。
ミミズコンポスト用に販売されているシマミミズを買うか、釣りのエサとして販売されているシマミミズを使いましょう。
また、シマミミズを投入してから1週間はエサを与えないようにします。
ミミズは環境の変化に弱い生き物です。
引っ越しが済んでからすぐにはエサを食べてくれません。
1週間ほど経って、ミミズたちが新居に慣れたころにエサを与えるようにしましょう。
ミミズコンポストを屋外で運用する際に気を付けたい点
ミミズコンポストを屋外で運用する際に気を付けたい点をご紹介します。
新聞紙や段ボールで湿度調整する
屋外のミミズコンポストは雨が当たるため、湿度調節が難しいです。
濡れてしまった場合などは、新聞紙や段ボールを入れてあげて、湿度調節しましょう。
湿度調節用の新聞紙や段ボールは細かく裁断する必要はありません。
そのまま入れて大丈夫です。
逆にカラカラに乾いてしまった場合は、シャベル等でかき混ぜて酸素を入れたり、霧吹きを吹いて湿らせたり、濡らした新聞紙を与えたりすると良いでしょう。
夏場は直射日光を当てない
ミミズコンポストは夏場に直射日光を当てないようにしましょう。
シマミミズの最適気温は25℃です。
25℃を超えると処理能力が落ちる可能性が高まり、35℃以上になると死んでしまいます。
1日中日陰になる風通しの良いところなら問題ないですが、それ以外の場合は、夏場は温度管理に注意を払う必要があります。
屋根を付けたり、遮光ネットが効果的です。
または、夏場だけ室内に入れて運用するのも手です。
夏場は直射日光が当たらない涼しい場所に置いてあげましょう。
害虫・害獣対策をする
生ごみを外に置いておくと、害虫や害獣が寄ってきます。
ミミズコンポストが悪臭を発生すると、ゴキブリやアメリカミズアブ、ナメクジなどの害虫や、ネズミなどの害獣がやってきてしまいます。
この中で注意したいのがアメリカミズアブです。
アメリカミズアブの幼虫は「ウジ虫」と呼ばれています。
ウジ虫も生ごみを分解してくれますが、ミミズとの相性が悪いです。
ウジ虫の排泄物がコンポスト内の水気を多くするため、ミミズが呼吸できなくなってしまいます。
ミミズコンポストがウジ虫に支配されないように、防虫ネットの中に入れておくのがおすすめです。
洗濯バサミなどで隙間なく止めておきましょう。
ミミズコンポストを屋外で運用するメリット
ミミズコンポストを屋外で運用するメリットは以下です。
- 屋外に置くため室内の置き場に困らない
- 大きなコンポストを作れるためたくさん生ゴミを分解できる
- 液肥を大量に入手できる
それぞれ解説します。
屋外に置くため室内の置き場に困らない
ミミズコンポストは生ごみを入れるため、キッチンに置くと便利です。
しかし、キッチンが狭くてもう物は置けない方や、ミミズを室内に置くのは抵抗があるという方もいらっしゃるでしょう。
屋外に置けば、狭いキッチンを圧迫することはなくなります。
屋外にミミズコンポストを置いた場合、室内の置き場に困らないのがメリットです。
大きなコンポストを作れるためたくさん生ゴミを分解できる
屋外ならスペースが広いため、大きなミミズコンポストを作ることができます。
室内では場所が限られてくるため、大容量のコンポストは運用できません。
屋外でならバスタブミミズコンポストにも挑戦できます。
大きなコンポストならよりたくさんの生ごみを分解することができ、ゴミを減らすことが可能です。
室内ではちょっとしかできませんが、屋外なら大規模なミミズコンポストを運用できます。
液肥を大量に入手できる
外でミミズコンポストを運用する場合、雨が入り込んで排水されます。
この排水される水は液肥として利用可能です。
ミミズコンポストの液肥は、たい肥に比べて速効性があり、植物がすぐに元気になります。
また、粘度も高いため、市販の液肥に比べて持続性があります。
雨で流されてしまうことが多い液肥ですが、粘度の高いミミズコンポストの液肥は効果が長持ちします。
室内では雨が降らないため、入手できる液肥は少量ですが、屋外だと大量に入手可能です。
家庭菜園をしている方やガーデニングをしている方は、液肥がたくさん取れる方が良いでしょう。
ミミズコンポストを屋外で運用するデメリット
ミミズコンポストを屋外で運用する場合、デメリットもあります。
- ミミズが全滅する可能性が高い
- 悪臭が湧きやすい
- 虫がたくさん寄ってくる
詳しく解説します。
ミミズが全滅する可能性が高い
屋外のミミズコンポストは、室内のものと比べて全滅する可能性が高いです。
ミミズが全滅する理由は2つあります。
- 雨で溺死する
- 夏の高温で全滅する
まず、屋外のミミズコンポストは雨が当たります。
室内と同じような容器を用意してしまうと、排水できずにミミズが溺れ死んでしまいます。
対策として、必ず排水できる容器を用意すること、雨が降ったら乾いた新聞紙や段ボールを入れて湿度調節することなどしてください。
次に、夏の高温問題です。
日本の夏は暑く、ところによっては40℃を超える地域もあります。
ミミズコンポストに直射日光が当たると高温になり、ミミズが死んでしまう35℃をゆうに超えてしまいます。
夏場は直射日光が当たらない涼しい場所に置きましょう。
夏場だけ室内に置くというのも良い手です。
悪臭が湧きやすい
ミミズコンポストは無臭ですが、外に置くと臭ってきてしまう場合があります。
雨が降った場合に、ミミズは濡れた場所を移動することができません。
ミミズが分解した場所は臭いませんが、雨で濡れた場所は分解が進まないため悪臭が出てきてしまうのです。
対策として、雨が続く場合には排水がきちんとされているかチェックしましょう。
また、新聞紙や段ボールを入れて湿度調節してあげましょう。
虫がたくさん寄ってくる
悪臭が出ると臭いにつられて虫がたくさん寄ってきます。
生ごみを入れる際に不快になるのはもちろん、アメリカミズアブの幼虫はミミズの居住区を奪ってしまうこともあります。
悪臭が出なければ虫は寄って来られないため、湿度調整をしっかりしましょう。
また、虫がコンポストに入らないように防虫ネットの中にコンポストを入れましょう。
小さな虫はちょっとした隙間からも入ってしまうため、入り込まないように入り口はしっかり閉じておきましょう。
大容量のミミズコンポストなら屋外がおすすめ
ミミズコンポストを屋外で運用する手順と、気を付けたい点をご紹介しました。
屋外での運用は、排水穴を付けること、湿度調節をしっかりすること、直射日光に当てないことなど、注意することを守れば、運用することが可能です。
室内のコンポストに比べて管理が難しいのは事実です。
しかし、大容量のミミズコンポストを作る場合は屋外が向いており、よりたくさんの生ごみを分解することができます。
屋外なら置き場所にも困りません。
たい肥や液肥をたくさん入手できることから、家庭菜園やガーデニングをしている方は屋外で始めた方が、メリットが多いでしょう。
ミミズコンポストでエコな暮らしを始めてみませんか。