ミミズコンポスト

2024/12/25

ミミズコンポストは屋内でできる!?方法や注意点を解説

ミミズコンポストは生ごみをミミズが分解してくれるため、焼却するゴミを減らせます。

また、たい肥も手に入れられることから、ガーデニングや家庭菜園を行っている方は、植物にも環境にも優しい肥料を使えます。

簡単にエコな暮らしができるため、注目されているミミズコンポストですが、室内でも運用できることをご存じでしょうか。

この記事では、ミミズコンポストが室内でも運用可能なのか、始める方法などをご紹介します。

室内でもミミズコンポストはできる

ミミズコンポストは普通のコンポストと違って、室内でも運用できます。

コンポストと言えば気になるのは臭いですが、ミミズコンポストはほとんど臭いません。

土のようなにおいがすることはあります。

ミミズのフンやコンポスト内にいる無数の微生物が生ごみの臭いを分解してくれるため、臭いが出にくいです。

また、ミミズは多孔質で、体にたくさんの孔が空いている生物です。

消臭炭と同じ原理で、この孔に臭いが吸着されて、生ごみの臭いが外に漏れなくなっています。

また、ミミズは過酷な環境下では生きられないため、室温が安定している室内の方が生きやすいです。

コンポストやミミズと言えば屋外がイメージされますが、むしろ室内の方がメリットが大きいです。

室内でミミズコンポストを始めるメリット

室内でミミズコンポストを始めるメリットを解説します。

エコな暮らしを実感できる

ミミズコンポストを室内に置いておくと、エコな暮らしを実感する頻度が高いです。

キッチンに置けば生ごみをすぐ捨てられて、ミミズに触れ合う機会が増えます。

ミミズが分解している様子も確認できるため、エコな暮らしをしていると実感できます。

生ごみを減らすことは、焼却ゴミを減らすことに繋がります。

焼却する際に出る温室効果ガスを減らすことになり、地球の温暖化を抑える役割を担えます。

生ごみを少しでも減らす活動は、エコな暮らしをしていると実感できるでしょう。

子どもに生き物の大切さを体感させられる

子どもがいる方は、子どもに生き物の大切さを体感させることができます。

子どもは虫が好きな子が多いです。

生ごみが出たらエサやりを進んで行ってくれるでしょう。

また、ミミズがエサを食べ、卵を産み、次の世代ができる様子も観察することができます。

生き物の大切さ、環境に優しい活動を行うという体験を日常からすることができるため、良い教育になるでしょう。

環境をコントロールしやすいため安定して運用できる

ミミズは環境に弱い生き物です。

ミミズは湿ったところを好みますが、びしょ濡れは苦手です。

例えば、雨の日に道路にいるミミズを見たことがある方は多いと思いますが、それは土の中で呼吸ができなくて地上に這い出てきてしまっている状態です。

コンポスト内のミミズも同様に雨は苦手です。

外にミミズコンポストを置いてしまった場合、雨を上手く排水できないとミミズが溺れ死んでしまいます。

また、夏の暑さにも弱い生き物です。

ミミズは35℃を超えると熱さにやられて死んでしまいます。

日本の夏は35℃をゆうに超えるため、屋外に置いておくと暑さで死んでしまう可能性が高くなります。

室内ならミミズが生きる環境をコントロールしやすいため、安定して運用することが可能です。

室内でミミズコンポストを始める方法

室内でミミズコンポストを始める方法をご紹介します。

必要なものを用意する

ミミズコンポストに必要なのは、以下の道具です。

  • コンポスト容器
  • ミミズ
  • ベッド材

それぞれ詳しく解説します。

コンポスト容器

コンポスト容器は室内で使えるものを用意しましょう。

高さ20~45㎝ほどのもので、不透明なものがミミズに適しています。

初めての方は専用の容器を使うと失敗しにくいです。

また、屋外用の物では臭いが出てしまうことがあり、室内に置くため衛生面が気になることから、室内用のものを使うようにしましょう。

ミミズ

ミミズはシマミミズを使います。

日本に生存するミミズはほとんどがフトミミズ科です。

フトミミズ科のミミズは巣をつくるため地中深くに潜る習性があります。

一方で、シマミミズなどのコンポストに向いているミミズは表層性種といって、地表面近くで生活し、落ち葉やたい肥を食べて暮らしています。

繁殖力も強いので、コンポスト内で生ごみを食べ、ミミズを増やしていくにはシマミミズが適しています。

シマミミズはミミズコンポストを販売している会社などで購入できます。

もしくは、釣り用のミミズを使うと良いでしょう。

ベッド材(新聞紙、ピートモス、ヤシガラなど)

ベッド材とはその名の通り、ミミズたちのベッドになる材料です。

新聞紙やピートモス、ヤシガラなどが適しています。

新聞紙を使う場合は、カラー部分は向かないため避け、細かくちぎってあげましょう。

シュレッダーなどにかけると良いです。

また、ピートモスを使う場合、絶対にpH調整済みのものを使うようにしてください。

pH未調整のピートモスは、土壌改良剤として畑を酸性にするときに使うものです。

ミミズに適しているpHは5.0~9.0の間と言われており、酸性が強すぎるとミミズが生きていけません。

必ずpH調整済みのピートモスを使ってください。

床材を容器に入れる

ミミズコンポストに必要なものが準備出来たら、ベッド材を容器に入れます。

5cm程度の高さまで入れて、霧吹きなどで水をかけて湿らせます。

ベッド材をぎゅっと握って水滴が落ちてくるまで湿らせてください。

湿らせることでかさが減ってしまった場合は、ベッド材を追加しましょう。

ミミズを容器に入れる

容器とベッド材が準備出来たら、ミミズをコンポストに入れます。

この時、ミミズについているベッド材を取り除かずに一緒に入れてください。

ミミズをコンポストに入れたらミミズコンポストの完成です。

初めはエサを与えないこと

ミミズをコンポストに入れてから1週間は、生ごみなどのエサを与えないようにしてください。

ミミズはデリケートな生き物で、環境の変化に弱いです。

引っ越してきたばかりのうちは、新しい家に慣れておらず、ご飯も食べてくれません。

むしろ、生ごみを嫌がって脱走しようとする個体も出てきます。

まずは環境に慣れさせるため、1週間はエサを与えずに様子を見ましょう。

室内でミミズコンポストを運用する注意点

室内でミミズコンポストを運用するのには注意点があります。

詳しく解説していきます。

コンポストに蓋をしない

専用の容器で蓋がある場合は構いませんが、DIYでコンポスト容器を作る場合は、蓋を作らない方がベターです。(直射日光は嫌うので、蓋をする代わりに黒い蛇腹(じゃばら)や黒い遮光ネットを敷くのが一般的です。遮光ネットとは、直射日光を遮り、温度や湿度を調整する農業資材や日よけを言います。)

「蓋がないとミミズが脱走しやすいのでは?」と思いそうですが、実は、蓋があった方が湿度の調節が難しく、ミミズが逃げ出す原因になります。

蓋つきの容器は蓋がない容器に比べて、湿度がこもりやすく、ミミズはちょうど良い環境を求めて脱走します。

コンポストに蓋をしないで置けば、湿度がこもらず、適度に霧吹きをしてあげられるため、ミミズにとっても居心地がいい環境になります。

どうしても蓋を付けたい場合は、コンポスト内に段ボールや新聞紙など、湿度を調節できるものを入れてあげると良いでしょう。

フチの水気は必ず拭き取る

ミミズは湿った環境を好むため、霧吹きは必須になります。

霧吹きをした後、フチの水気は必ずふき取るようにしましょう。

水分を求めてミミズがのぼってきてしまうからです。

そのまま室内をミミズが徘徊してしまうこともあるため、注意が必要です。

脱走してしまう原因になるため、霧吹きをかけたら、フチの水気は必ずふき取るようにしましょう。

ミミズコンポストは収納ネットに入れる

容器を蓋なしにしても、ミミズコンポストを収納ネットに入れてしまえば、脱走を防ぐことができます。

100円ショップには布団収納袋や洗濯ネットが売っているため、こちらを活用しましょう。

呼吸ができるように、必ずネットタイプのものを購入するようにしてください。

生ごみは細かくしてから入れる

生ごみを与えるときに、細かく切ってから与えるようにしてください。

ミミズの処理能力にも限界があるため、生ごみをそのまま与えると、分解するまで時間がかかります。

分解に時間がかかってしまうと悪臭が出る原因になります。

臭いが出てしまうと、コバエや害虫が集まってきてしまいます。

臭い、コバエ、害虫対策には、生ごみを細かくしてミミズに与えるのがおすすめです。

生ごみを冷凍して与える

生ごみにはコバエや虫の卵などが付着している場合があります。

気付かずにコンポストに入れてしまうと、コンポスト内で虫が発生する原因になります。

冷凍すると虫の卵が孵化できなくなるため、害虫対策として生ごみを冷凍してからミミズに与えると良いです。

また、冷凍すると野菜くずなどの細胞が壊れ、ミミズが食べやすくなります。

分解を早くするためにも、生ごみを冷凍するのがおすすめです。

生ごみと一緒に新聞紙を与える

生ごみと一緒に新聞紙や竹炭を与えてあげましょう。

新聞紙は湿度調整に役立つだけでなく、炭素としての役割があります。

ミミズコンポストはミミズだけではなく、微生物たちの働きも必要です。

微生物たちが好む環境は、炭素と窒素の割合が30:1になっている環境です。

生ごみは窒素を多く含むため、炭素となる新聞紙を多く入れてあげる必要があります。

また、新聞紙は臭いを吸着してくれる効果もあるため、臭い対策として入れておくと良いでしょう。

竹炭は、ミミズが破裂して死んでしまうのを防ぎます。

肉や魚はミミズの好物なのですが、食べ過ぎてしまうと消化できずにミミズが破裂してしまうことがあります。

細かく砕いた卵の殻や、竹炭を与えることで防ぐことができるため、生ごみと一緒に与えましょう。

また、酸性に傾いたコンポスト内を中和してくれる役割もあるため、竹炭は重要です。

室内でミミズコンポスト運用に失敗してしまったときに確認したいこと

室内でミミズコンポストを運用して、ミミズが全滅するなどの失敗をしてしまった時に確認したいことをご紹介します。

ミミズに与えてはいけないものを入れていないか

ミミズに与えてはいけないものを入れていないか確認しましょう。

ミミズは以下の物は苦手です。

  • ネギ類
  • 柑橘類
  • 唐辛子などの刺激物
  • 水以外の液体

苦手なものから逃げようとして脱走したり、最悪死んでしまったりするため、上記のものはあげないようにしましょう。

乾燥していなかったか

ミミズは湿った場所を好みます。

逆を言えば、乾燥した場所では生きられないです。

ミミズコンポストが乾燥しないように、コンポストの中をシャベル等でかき混ぜて酸素を与えたり、霧吹きで水をあげるなどして、コンポスト内の湿度を保ちましょう。

生石灰・消石灰を入れていないか

コンポスト内のpHをミミズに適したものにしようと有機石灰を入れるのはいいのですが、生石灰や消石灰はミミズが死ぬ原因になります。

石灰を入れる場合は、必ず有機石灰を与えてください。

ミミズコンポストは室内の方が安定する!

室内でのミミズコンポストの運用方法をご紹介しました。

実は、ミミズコンポストは、屋内よりも室内の方が安定します。

雨や高温にならないことや、環境を整えてあげやすいことから、屋外よりも室内の方がミミズにとって暮らしやすいです。

環境をしっかり整えてあげれば、脱走や全滅は避けられます。

キッチンに置けばすぐに生ごみを捨てられて便利です。

ミミズコンポスト初心者は、室内から始めてみましょう。