環境問題の中で特に自治体を悩ませている問題として生ゴミが挙げられます。
家庭から排出される「燃やせるゴミ」の約40%を生ゴミが占めており、しかもその約80~90%が水分ですので、焼却するために多くのエネルギーが必要となるからです。
また、焼却に必要なエネルギー源の多くは化石燃料ですので、焼却することによって温暖化ガスのCO2を発生してしまいます。
この生ゴミ対策として有効な方法にミミズコンポストがあります。
ミミズコンポストは、ミミズに生ゴミを食べさせて、かつミミズが排出する糞や尿を良質な堆肥や液肥として利用するもので、生ゴミの減量と堆肥・液肥の生成という一石二鳥の効果があります。
多くの自治体でもミミズコンポストなどの家庭用生ゴミ処理機に注目しており、普及促進のために補助金を出す自治体が全国の3分の1にものぼっています。
この記事では、ミミズコンポストを導入して自宅の庭や畑の堆肥や液肥を作ってみようと考えている人のために、ミミズコンポストを失敗や弊害を起こさずに始める方法について解説します。
ミミズコンポストの始め方は2パターン
ミミズコンポストの始め方を大きく分けると2つのパターンがあり、比較すると下表のようになります。
パターン | 価格 | 簡易性 | 失敗のしにくさ |
---|---|---|---|
ミミズコンポストを自作・DIY | 〇 | × | × |
ミミズコンポストを購入 | × | 〇 | 〇 |
つまり、「自作・DIY」は、価格面では勝っていますが、簡易性や失敗のしにくさでは「購入」の方が勝っているということになります。
以下では、それぞれについてくわしく説明します。
ミミズコンポストを自作・DIY
コンポスト容器はプランターや衣装ケースなど身近なものを使って自作・DIYすることができ、このメリットは低価格で始めることができることです。
プランターや衣装ケースの中に、土とミミズを入れて適切な環境を作ることができれば、ミミズが生ゴミを食べて堆肥となる糞や尿をしてくれるようになります。
しかしながら、ミミズの習性に合った生育しやすい環境を作るにはそれなりの知識と工夫が必要で、特に初心者の場合は失敗しやすいというデメリットがあります。
ミミズコンポストを購入
コンポスト容器や専用の土、ミミズなどがすべて揃ったセットを購入して始めることもできます。
この方法なら必要なものがすべて揃っていますので、購入して説明書に沿って組み立てるだけで完成するという簡易性がメリットです。
自作・DIYよりは価格が高くなるのがデメリットですが、組み立てが楽で失敗が少ないので、結果的には成功への近道になります。
ミミズコンポストを始める手順(金子みみずちゃんの家購入の場合)
次に、ミミズコンポストを始める手順について説明します。
前述のように、2つのパターンがありますが、ここでは初心者に向いていると考えられる「金子みみずちゃんの家」を例にして説明します。
STEP1:ミミズコンポストを購入する
ミミズコンポスト(金子みみずちゃんの家)は、株式会社農業経営研究所が販売している商品で、同社オンラインショップや光和商事株式会社、その他のECサイトなどから購入することができます。
容器や土のみの販売もされていますが、初心者がすぐに始めるのであれば容器や土、シマミミズがセットになった特別セットを購入するのがおすすめです。
STEP2:ミミズコンポストの組み立て
特別セットが手元に届いたら組み立てをします。
詳しい説明書が付属していますので、それを見ながらやれば誰でも簡単に組み立てることができます。
ただし、組み立ての順序を間違えるとやり直しになりますので、説明書をよく読んで丁寧に組み立てていきましょう。
脚材をセット
まず最初に、最下段になる脚材をセットします。
脚材の下部には液肥が落ちてくる液肥口が付いていますのでその下に液肥を受ける「計量カップ」をセットします。
脚材の底面には、ミミズが液肥口から落下するのを防ぐための黄色い「脱走防止スポンジ」を敷きます。
スポンジはジョウロなどで少し濡らしておくと良いようです。
脚材の上に1段目をセット
次に、脚材の上に1段目をセットしますが、1段目は自分で組み立てる必要があります。
4枚の側面材を組み立てて、底材の上にカチッと音がするまできちんとはめ込みます。
1段目の底には新聞紙を敷いてミミズが下に落ちないようにします。
1段目全体を脚材の上に載せて、四隅をしっかりと合わせてカチッと音がするようにセットします。
1段目に土ごとミミズを入れる
1段目がセットできたら、その中に土嚢袋の中の土とミミズを入れます。
ミミズは土と一緒に土嚢袋の中に入っています。
土とミミズを1段目に入れるときはこぼれないように気を付けましょう。
1段目の上に2段目をセット
1段目に土とミミズを入れ終わったら、1段目の上に2段目をセットします。
1段目をセットするときと同様に、カチッと音がするまでしっかりとセットします。
このときに注意しなければならないのは、1段目に入れた土が2段目の底に触れるように、土の中央付近を盛り上げておくことです。
こうすることによって、1段目のミミズが盛り上げられた土を通って2段目に上がってきて生ゴミを食べてくれます。
2段目に土(ココナッツ繊維)を入れる
2段目のセットが終わったら、土を入れます
この土はココナッツの実を繊維質にしたもので、とてもフカフカしていてミミズがとても好きな土です。
最初は茶色をしていますが、ミミズが生ごみを食べて分解していくと真っ黒な水はけの良いコロコロとした堆肥に変わります。
ミミズは乾燥が苦手なため、土に霧吹きで水をかけて湿らせます。
湿らせ具合は、土をつまんだときに指に少しつくくらいが理想的です。
生ゴミを入れて土(ココナッツ繊維)を上から被せる
2段目に土を入れ終わったら、最初の1週間はそっとしておきましょう。
1週間後から生ゴミを入れていきますが、なるべく細かく切って表面積を増やしたり、レンチンして柔らかくするとミミズが食べやすくなります。
生ゴミは土の1か所をしっかり掘って埋めて、土をかぶせて見えなくすることがポイントです。
1段目のミミズが2段目の底穴を通って2段目に上がってきて生ゴミを食べます。
設置してから約1ヶ月間は新しい環境のためあまり生ゴミを食べませんので、少しづつ様子を見ながら生ゴミの量を増やすようにします。
土の上に新聞紙を敷いて霧吹きで湿らせておくと、湿気を維持しつつコバエの発生を防ぐことができます。
2段目の上に3段目をセット
特別セットには3段目が付いていますが、最初は使いませんので空のまま2段目の上にセットし、その上に蓋をします。
STEP3:ミミズコンポストの設置
ミミズは雨水や暑さ、直射日光、振動などに弱いため、ミミズコンポスト(金子みみずちゃんの家)の設置場所は慎重に決める必要があります。
設置場所の条件は、次の4つです。
- 風通しが良い
- 直射日光が当たらない
- 0℃以下、30℃以上を避ける
- 振動が発生しない
ミミズコンポスト(金子みみずちゃんの家)は臭いが発生しないので、ベランダ、玄関、キッチンなどに設置することが多いようです。
不適切な場所に設置すると、ミミズや微生物の活動が鈍ったり悪臭が発生したりすることがあるので注意しましょう。
以下、それぞれの条件について説明します。
風通しが良い
風通しの良いところに設置しましょう。
特に夏は風通しに気をつけて、30℃以上になる場合は水をかけて気化熱で冷やすようにしましょう。
直射日光が当たらない
直射日光が当たると中はかなりの高温になり、ミミズが危険な状態になります。
また、容器が再生プラスチックのため熱くなるという理由もあります。
0℃以下、30℃以上を避ける
ミミズの活動は10℃~28℃で最も活発になり、24℃位が適温と言われています。
若干余裕をみても0℃以下、30℃以上を避けるようにしましょう。
振動が発生しない
ミミズは振動に敏感ですので振動が発生していないところに設置しましょう。
振動を感じると天敵のモグラが来たと感じるのではないかという説もあります。
STEP4:ミミズコンポストを適切に管理
ミミズコンポスト(金子みみずちゃんの家)は、設置したままではなく適切に管理することが必要です。
以下では、管理のポイントについて説明します。
湿度の維持
ミミズの生育に適した湿度は60~70%のジメッとした状態です。
ミミズには適度な水分が必要ですが、ミミズは100%皮膚呼吸をしていますので水分が多すぎると窒息死してしまいます。
また乾燥も良くなく、水分が少なすぎると干からびてしまいます。
ですから、霧吹きなどで適度に土を湿らせつつ、水がたまった状態にならないように、裂いた新聞紙などを入れて水分の調整するようにしましょう。
温度の調整
ミミズの活動が活発になる温度は10℃から28℃で、適温は24℃程度です。
温度の調整が悪くてミミズの活動が鈍くなると、生ゴミの処理量が減ってミミズの繁殖も悪くなります。
夏場などで30℃以上になるような場合は、水をかけて気化熱で冷やしてあげると良いでしょう。
臭いの確認
ミミズコンポスト(金子みみずちゃんの家)の中の状態が良い場合は、森林の中と同じような香りがします。
もし、嫌な臭いがする場合は、無酸素バクテリアが発生していることが考えられますので、土の中に酸素(空気)を入れるためにシャベルでかき混ぜると良いでしょう。
また、堆肥が溜まりすぎるとミミズコンポスト(金子みみずちゃんの家)の中の空気の流通が悪くなって臭うことがあるようですので、この場合は溜まった堆肥を取り出しましょう。
虫の発生対策
pHバランス(酸性とアルカリ性のバランス)が崩れると、虫が発生しやすくなります。
虫が発生しないようにするためにも、次の4点に注意しましょう。
- 生ゴミを入れすぎないようにする
- 土は酸性に偏りがちなため定期的に石灰をまく
- 水分が足りない場合は水をかける
- 生ゴミの中に多量の肉や魚が入っている場合は量を減らす
購入した方が失敗や弊害が少ないため初心者にはおすすめ
この記事では、ミミズコンポストを導入しようと考えている人が失敗や弊害を起こさずに始められる方法について解説しました。
ミミズコンポストはそれほど難しい技術が必要となるわけではありませんので、容器と土とシマミミズを準備して自作してDIYで始めることもできます。
しかし、初めて挑戦するのであれば、コンポスト容器やミミズ、専用の土などの必要なものがすべて揃ったセット商品を購入した方が失敗がなくて安心です。
その中でも特に「金子みみずちゃんの家」は、必要なものがすべてセットになっているうえに詳しい説明書も付いていますので初心者でも簡単に始められます。
ミミズコンポストを始めてみたい方には「金子みみずちゃんの家」をおすすめします。