家庭から排出される生ごみから家庭菜園や花壇の土壌を豊かにするミミズ堆肥を作ることができます。
現在ではほとんどの生ごみは自治体などが回収して焼却処理されていますが、生ごみには水分が多く含まれていることから多くの焼却エネルギーが必要になりますし、焼却時に出る温暖化ガスも問題となっています。
この焼却エネルギーや温暖化ガスを削減できる方法としてミミズコンポストがあり、近年注目されて利用する人が増えています。
ミミズコンポストで使用するコンポスト容器は購入することができて、各種サイトで販売されています。
また、DIYで自作することもでき、これについてもいろいろなサイトで紹介されています。
ここで問題になるのは、肝心のミミズはいったいどこから手に入れればいいのかということです。
今後ミミズコンポストを始めてみようと思っている方の中には、このような疑問を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、このような疑問に答えるために、ミミズコンポストで利用できるシマミミズの生息場所や捕まえ方や採取方法などについて詳しく解説していきます。
コンポスト用のシマミミズはどこにいる?生息場所
日本には多くのミミズが生息しておりその種類は180種類にも上りますが、ミミズコンポストで利用できるミミズはシマミミズという種類に限られています。
よく庭や畑の土の中で見かけるミミズはフトミミズという種類のミミズで、ミミズコンポストには利用できません。
フトミミズは体長約10cmのやや大きめのミミズで、地中に穴を掘って巣穴に生息しており、土中に含まれる微生物を食べています。
これに対して、シマミミズはフトミミズよりは小型の体長約5~10cmで体中に縞模様があるのが特徴です。
あまり土中の深いところには生息しておらず、堆肥やゴミ捨て場の中や周囲の有機物の多い湿った場所にいます。
シマミミズは、フトミミズがあまり食べない生ごみや腐敗した有機物も好んで食べて、巣穴を作りませんのでこの点からミミズコンポストに向いているのです。
繁殖力もフトミミズに比べて旺盛で、寿命もフトミミズの1年に比べて約2倍と長いこともコンポストに向いている理由です。
では、このシマミミズはいったいどこに生息しているのでしょうか?
考えられる生息場所としては、次のような場所が挙げられます。
- 堆肥や有機物が多い場所
- 湿った土壌や落ち葉のたまった場所
- 農地や畑
- 古い木材や朽ちた木の近く
- 水辺や湿地
以下で、それぞれについて説明します。
堆肥や有機物が多い場所
シマミミズは堆肥や有機物が多いところを好みますので、生ごみや落ち葉が分解されている場所で見つけることができます。
たとえば、家庭のコンポスト容器の中や堆肥の中などの有機物が豊富で湿った場所を探してみましょう。
特に、家庭菜園などで果物の皮や野菜くずなどの残渣置き場などに集まりやすいといわれています。
その他には、枯草が積まれたところや田んぼの稲わらが積まれたところ、家畜のフンの堆積場・堆肥場、堆肥置き場、ゴミ捨て場や公園の砂場・木の近くなどでも見つかる可能性があります。
湿った土壌や落ち葉のたまった場所
シマミミズにとっては、湿り気があり分解中の有機物が存在する環境が理想的です。
たとえば、公園の落ち葉の下、森や林の中の腐葉土がたまっているところ、草むらや庭の隅などで枯れた植物が積もっている場所などにシマミミズが生息している可能性があります。
シマミミズは乾燥を嫌いますので、湿った土壌や落ち葉のたまったところなどを探してみると良いでしょう。
農地や畑
シマミミズは、肥料や堆肥を使っている畑で繁殖していることがあります。
特に有機農法を行っている農地にはシマミミズが多く生息している可能性が高いと考えられます。
畑の端の方や肥料が多く使われているところを中心に探してみると見つかりやすいでしょう。
古い木材や朽ちた木の近く
シマミミズの生息場所として、古い木材や朽ちた木の近くなども考えられます。
古い木材や朽ちた木は、幹や枝などが分解されて腐葉土のような状態になっており、栄養豊富な有機物の環境となっているからです。
このような分解中の有機物が豊富な場所にシマミミズが好んで集まってくる可能性があります。
古い木材や朽ちた木をひっくり返したり、その周辺の土を調べると見つかることがあります。
水辺や湿地
シマミミズは、水辺や湿地などの近くの土壌が湿った場所にも好んで生息しています。
たとえば、川や池の周辺、湿地帯、田んぼや畑の水路の近く、雨水がたまりやすい場所などが考えられます。
しかし、過剰な水分は避けるため、完全に水浸しの場所ではなく適度に湿ったところを探してみましょう。
コンポスト用のシマミミズが捕まえやすい季節は?
シマミミズに限らずミミズは、10℃から28℃くらいの温度を好みますので、暑い夏と寒い冬は苦手です。
シマミミズを捕まえやすい季節は、梅雨の時期(5月~7月ごろ)と秋の時期(9月~10月ごろ)です。
しかし、近年は夏の暑さが9月以降も続くことが多くなっていますので、夏の暑い時期が終わってからと考えておきましょう。
シマミミズの捕まえ方・採取方法
シマミミズの捕まえ方や採取方法は次の通りです。
- 道具を使って捕まえる
- おびきよせて捕まえる
- 手で捕まえる
以下で、それぞれについて説明します。
道具を使って捕まえる
道具を使ってシマミミズを捕まえる場合は、ミミズを傷つけないような配慮が必要です。
シマミミズを捕まえるために必要な道具には、小型のスコップや移植ごて、手袋、ふるいなどがあります。
まとめると次のようになります。
小型のスコップや移植ごて | シマミミズがいそうなところの土を掘るために使います。鋭利になっていないものを選び、シマミミズを傷つけないように作業しましょう。 |
手袋 | 手が土やシマミミズに直接触れないように使用します。シマミミズを傷つけないように柔らかい素材を選びましょう。 |
ふるい | シマミミズを含んだ土をふるいにかけてシマミミズだけを分けるために使います。 |
おびきよせて捕まえる
直接掘り起こす以外にも、ミミズをおびきよせて捕まえる方法があります。
この方法だと、シマミミズを傷つけたりストレスを与えることがなく、簡単に捕まえることができます。
有機物をつかっておびきよせる
シマミミズをおびきよせるためのエサとしては、バナナの皮や野菜くず、コーヒーかすなどが効果的です。
これらのエサをシマミミズがいそうな土の上に置いて1~2日放置しておくと、シマミミズが引き寄せられて集まってきますので、簡単に捕まえることができます。
湿度を高めておびきよせる
シマミミズがいそうな場所に水を少量まいて湿った状態にしておくと、シマミミズが地表近くに出てきますので、簡単に捕まえることができます。
雨上がりは自然に湿度が高くなっていますので、特に適したタイミングです。
手で捕まえる
シマミミズを直接手で捕まえる際は、シマミミズを傷つけたり乾燥させたりしないように注意しましょう。
まとめると次のようになります。
小型のスコップや移植ごて | シマミミズがいそうなところの土を掘るために使います。鋭利になっていないものを選び、シマミミズを傷つけないように作業しましょう。 |
優しく扱う | シマミミズの体は柔らかく強い力を加えると損傷しやすいので、そっと持ち上げるなど優しく扱うようにしましょう。 |
乾燥を防ぐ | シマミミズは乾燥に弱いので、湿った手や手袋で触れるようにしましょう。シマミミズを捕まえた後は、乾燥しないように濡れた布や湿った土を入れた容器に入れて保管するようにしましょう。 |
コンポスト用のシマミミズは通常どこで手に入れるもの?
これまでは、自然界に生息しているシマミミズを捕まえる方法について説明してきましたが、通常コンポスト用のシマミミズは専用の通販サイトなどから購入して繁殖させて増やしていくことが多いです。
このような専用の通販サイトで販売されているシマミミズも、自然界で捕まえたものではなく、ほとんどが養殖業者や個人養殖家が繁殖させたものです。
ミミズコンポストで利用するシマミミズは、主に次のいずれかから購入することができます。
- 釣具店
- ペットショップ
- ホームセンター
- ミミズ専門店
- オンライン通販サイト
- オークションサイト
- フリマサイト
- 掲示板サイト
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
シマミミズを知識なしで捕まえるのは大変!購入するのがおすすめ!
本記事では、これからミミズコンポストを始めてみようと考えている方などに向けて、ミミズコンポストで利用できるシマミミズの生息場所や捕まえ方・採取方法などについて詳しく解説しました。
シマミミズが生息している可能性のある場所としては、堆肥・有機物が多い場所や湿った土壌・落ち葉のたまった場所などが挙げられますが、どちらかというと人為的影響のあるごみ捨て場などに多く見られます。
日本では生ごみのほとんどは自治体などによって回収されていますので、シマミミズの生息場所はかなり減少していると考えられます。
つまり、自然界の中からシマミミズを探して捕まえることは大変であり、また捕まえるためには相応の知識が必要となります。
このことからミミズコンポストを始めてみようと考えている方には、専用サイトなどで販売されているシマミミズを購入することをおすすめします。
これらの専用サイトの中でも、「金子みみずちゃんの家」を販売している農業経営研究所ではミミズコンポスト用の良質なシマミミズを販売しているのでおすすめできます。