「ミミズコンポストに興味はあるけど、ミミズを育てていけるか心配…」という方は多いのではないでしょうか。
ミミズを育てるのには餌を与える必要があります。
しかし、ミミズはなんでも食べるのではなく、好き嫌いがあり、苦手な食べ物を入れてしまうと脱走の原因になったり、全滅する恐れもあります。
この記事ではミミズが好む餌についてご紹介、苦手なものや、餌を上げる際のコツなども解説していきます。
ミミズが快適に過ごし、効率よくたい肥化が進むよう、ぜひ参考にしてください。
シマミミズは何を食べる?基本的な食性
シマミミズは雑食性で、さまざまな有機物を食べて生きています。
ただし、私たちが想像するように、生ごみをそのまま食べるのではなく、分解された有機物、つまり腐葉土のように微生物が活動している状態のものを食べています。
ミミズ自身が食べるのではなく、「細菌やカビといった微生物の働きで分解が始まったものを吸収する」という感覚に近いです。
このため、シマミミズが食べる餌は「柔らかく」「細かく」「発酵が進んでいる」ことが理想です。
また、シマミミズの口は小さいため、大きくて硬いものは避けるか、細かく刻むことが必要です。
食性を理解すれば、餌の選び方にも自然と工夫が生まれてくるでしょう。
シマミミズに与えて良い餌

シマミミズに与える餌は、良質なたい肥を作るためにも重要な役割を持ちます。
具体的に与えても良い代表的な餌は以下の通りです。
- 野菜くず・果物の皮
- 茶殻・コーヒーかす
- 紙類(無漂白)
- 米ぬか
- 卵の殻
- 少量の肉・魚
それぞれ詳しく見ていきましょう。
野菜くず・果物の皮
家庭から出る生ごみの定番が野菜くずや果物の皮です。
シマミミズが食べやすいように、できるだけ細かく刻んで与えると良いでしょう。
キャベツの外葉やニンジン、ジャガイモの皮はもちろん、バナナやリンゴの皮など甘いものはシマミミズの好物です。
しかし、果物だからと言って柑橘類の皮は与えてはいけません。
柑橘類にはリモネンが含まれるため、ミミズに悪影響を及ぼします。
茶殻・コーヒーかす
お茶やコーヒーを淹れた後の茶殻やコーヒーかすも、ミミズの餌として適しています。
適度な水分を含んでいて分解しやすいため、ミミズの好物のひとつとされています。
ただし、水分が多すぎるとコンポスト全体の湿度が上がりすぎてしまうこともあるため、使用する際は軽く乾燥させて少量ずつ混ぜるようにしましょう。
茶殻やコーヒーかすには消臭効果もあるため、臭いが気になる方にもおすすめです。
紙類(無漂白)
無漂白の新聞紙や段ボールなどの紙類も、ミミズコンポストでは重要な炭素源として活躍します。
ミミズコンポストでは微生物が分解した後の生ごみをミミズが食べるため、微生物の活動がなくてはなりません。
微生物が活発に活動できる土壌は、炭素と窒素の割合が30:1であることが条件です。
炭素が30ということで、なるべく炭素が多い環境にしなくてはならないのですが、その炭素を補えるのが新聞紙や段ボールというわけです。
また、水分を吸収するためコンポスト内の湿度調節にも役立ちます。
与え方は、細かく裁断し、水で湿らせてから与えます。
新聞紙はカラーインクを避けて与えてあげてください。
米ぬか
米ぬかは発酵促進剤として優れており、ミミズの食欲も高まります。
生ゴミと混ぜることで、発酵を早め、餌としての状態が整いやすくなります。
ただし、一度に大量に入れると発熱する可能性があるため、少量ずつ全体にまんべんなく混ぜて使うのが安全です。
夏場は与えるのを控えること、逆に冬場はコンポスト内の温度を上げるため使ってあげることがおすすめです。
卵の殻
砕いた卵の殻は、ミミズにとってはカルシウム源です。
細かく砕いて乾燥させたものを定期的に少しずつ加えることで、ミミズの体内環境のバランスを整えるのに役立ちます。
また、卵の殻はpHを安定させる効果もあり、酸性に傾いたコンポストを中和する役割も果たします。
シマミミズはpH5.0~9.0の間で生きていくことができますが、生ごみを与えているとどうしても酸性に偏りがちです。
卵の殻はミミズにカルシウムを与える他、環境を中和する役割があるため、積極的に入れていきましょう。
少量の肉・魚
一般には避けた方が良いとされる肉や魚ですが、少量を与える場合、必ずしもNGというわけではありません。
大量の肉や魚はミミズが処理しきれず腐敗してしまうことが多いですが、少量ならミミズの成長に必要なタンパク質を補給することができます。
ただし、腐敗や悪臭を避けるため、使用する際はミミズが消化できる量に限る必要があります。
肉や魚をミミズコンポストに入れると、堆肥に窒素が含まれいい堆肥ができます。
量には注意して少しずつ入れていきましょう。
シマミミズに与えてはいけない餌
シマミミズに与えてはいけないものもあります。
シマミミズに与えてはいけない餌は以下の通りです。
- 大量の肉・魚
- 辛いもの・刺激のあるもの
- 柑橘類
- 塩分・油分が多いもの
- プラスチック
これらはミミズの健康を損なったり、コンポスト全体に悪影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
大量の肉・魚
少量なら条件付きで与えられることもある肉や魚ですが、大量に投入すると腐敗が進み、悪臭や虫の発生につながります。
また、油分が多い部位や調理済みのものはミミズに悪影響を及ぼすため危険です。
たとえば、焼き魚の骨、油のついた肉のかけらなどは避けましょう。
これらはミミズも嫌がって食べず、コンポストの失敗の原因になります。
辛いもの・刺激のあるもの
ニンニク、ネギ、玉ねぎ、唐辛子などの刺激物は、ミミズにとって有害です。
これらはミミズの皮膚や内臓に刺激を与え、最悪の場合死んでしまうこともあります。
「少しなら大丈夫だろう」と思っても、ミミズの体は繊細です。
絶対に混入させないようにしましょう。
柑橘類
柑橘類の果皮にはリモネンが含まれており、これが微生物やミミズにとって刺激となります。
少量なら問題が出ないこともありますが、大量に与えるとpHが酸性に傾き、ミミズの活動が鈍ります。
安全性を考えて、柑橘類はミミズコンポストに入れないようにしましょう。
塩分・油分が多いもの
揚げ物、カレー、味噌汁などの調理済み食品は、塩や油が含まれているためミミズには適していません。
塩分はミミズの体内の浸透圧に影響を与え、命に関わる場合があります。
また、油分は分解されにくく、コンポスト内の酸素を奪うため、悪臭や腐敗の原因になります。
液体もミミズコンポスト内の湿度調整に関わるため、カレー、みそ汁などは入れないようにしてください。
プラスチック
お菓子の袋やラミネート加工された紙、発泡スチロールなどは当然ながら分解されません。
これらが混入すると、たい肥化が妨げられるだけでなく、最終的なたい肥の品質にも影響します。
ティーバッグなど一見紙に見えるものも、ナイロンやポリエステル製のものがあるので、与えないように注意しましょう。
投入する前には必ず目視で確認し、異物は取り除く習慣をつけましょう。
シマミミズに餌を与えるときのコツ

餌の種類だけでなく、与え方にも工夫が必要です。
ちょっとした配慮が、コンポストの安定とミミズの健康維持につながります。
シマミミズに餌を与えるときのコツは以下の4つです。
- 適量を守る
- 頻度と場所を工夫する
- 臭いをチェックする
- 食べやすいように細かくする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
適量を守る
一度に大量の餌を入れると、ミミズが食べきれずに腐敗してしまいます。
特に生ゴミは時間が経つと嫌な臭いが発生しやすく、害虫が寄ってくる原因にもなります。
コンポストを始めて1週間は、ミミズが環境に慣れていないため餌を与えないでください。
1週間後から、最初は少量ずつ、ミミズの様子を見ながら増やすように心がけましょう。
ミミズが食べる量は体重の半分と言われており、シマミミズ1匹の体重は約0.4gです。
つまり1匹が食べる量は約0.2gとなり、500gのシマミミズが食べられる生ごみの量は約250gとなります。
この量を超えて与えてしまうと生ごみの腐敗の原因になるため、適量を守るようにしましょう。
頻度と場所を工夫する
毎日餌をあげる必要はありません。
2〜3日に1回を目安に、食べ残しがあるかどうかを確認してから与えると良いでしょう。
また、毎回同じ場所に入れるのではなく、左右や中央など場所をずらすことで、ミミズがまんべんなく移動してくれます。
ミミズがまんべんなく移動することで酸素を循環することができ、臭いの防止に繋がります。
臭いをチェックする
ミミズコンポストが順調なときは、土のようなほのかな香りがします。
反対に、腐敗臭や酸っぱい臭いがする場合は、何かしらの問題が起きているサインです。
たとえば、餌の与えすぎ、水分の過多、通気不足などが原因として考えられます。
臭いを毎日チェックする習慣を持ちましょう。
もし臭いがしてきたら、全体をかき混ぜてあげたり、石灰を撒いて中性にしてあげるなどの工夫が必要です。
食べやすいように細かくする
シマミミズの口は小さいです。
大きな野菜くずや果物の皮は、ミミズにとって食べづらく、分解にも時間がかかります。
ミキサーで細かくする、包丁で刻む、乾燥させてから砕くなどの工夫を加えることで、ミミズの負担を減らし、コンポスト全体の効率もアップします。
シマミミズの餌に関するよくある質問
シマミミズを飼育していると疑問に出てくることもあるでしょう。
ここでは、シマミミズの餌に関して良くある質問をまとめました。
.餌をあげたのにミミズが食べていないのはどうして?
シマミミズが餌を食べていない原因はいくつかあり、以下のことが考えられます。
- 餌の量が多い
- 餌がミミズの好みに合わない
- 微生物の分解が済んでいない
まず、餌の量が適切か確認してください。
ミミズは体重の半分量の餌を食べるため、500gのミミズは250gしか餌を食べません。
許容量を超える餌を与えてしまうとミミズはそれ以上食べれないため、餌が残ってしまいます。
また、ミミズが苦手とするものを与えていても、ミミズは食いつかないため、一度与えているものを確認してみましょう。
最後に、微生物の分解が進んでいない場合は、コンポスト内の環境が悪くなっている可能性があります。
酸性に傾いていないか、湿度・温度は適正か、確認してください。
米やパンなどの炭水化物もあげていいの?
米やパンなどの炭水化物も与えて問題ありません。
炭水化物は微生物の発酵を促す働きがあるため、発酵が進めばミミズも食べやすくなります。
ただし、バターやジャムが塗ってあるものは、油分や味が濃すぎるため与えないでください。
また、パンは乾燥するとカビやすく、湿度管理をしないと異臭の原因にもなるため、少量ずつ様子を見ながら与えるようにしましょう。
乾燥した餌と湿った餌だったら、どっちがいい?
両方バランスよく与えるのが良いでしょう。
生ごみは湿っていることが多いので、生ごみばかり与えていると湿気がこもりやすくなり、コンポスト内も酸性に傾きやすくなります。
乾いた紙や段ボールなどの炭素源を生ごみに混ぜて与えることで、発酵しやすく、通気性が安定するので、たまには乾燥した餌をあげるようにしましょう。
シマミミズが好む物を与えて健康なミミズにしよう!
ミミズコンポストの成功は、シマミミズが快適に生活できるかどうかにかかっています。
そのためには、シマミミズの食性を理解し、好みに合った餌を選ぶことが大切です。
「よかれと思って入れたもの」がミミズにとっては有害だった、ということがないよう、この記事で紹介した内容を参考に、餌の種類や与え方に気を配ってみてください。
健康なミミズたちがしっかり働いてくれれば、家庭から出る生ゴミは立派なたい肥へと変わります。
環境にもやさしく、家庭菜園にも役立つミミズコンポスト。
シマミミズと良い関係を築きながら、楽しく続けていきましょう。