ミミズコンポストは家庭で出た生ごみをたい肥に変える、画期的なエコシステムです。
生ごみは水分が多く、ゴミ処理場で焼却処分する際に大きなエネルギーを必要とし、二酸化炭素などの有害な物質を排出します。
一方で、ミミズに生ごみを食べてもらうミミズコンポストは、ミミズ以外にエネルギーを必要とせず、有害物質も出さずに生ごみを処理することができます。
生ごみをたい肥に変えるため、作られたたい肥を家庭菜園やガーデニングに再利用することができ、エコな仕組みになっています。
今回は、ミミズコンポストの仕組みがどうなっているのか詳しく解説していきます。
具体的に専用コンポストの「金子みみずちゃんの家」を例に紹介しますので、興味のある方は参考にしてください。
ミミズコンポストの仕組みとは??
簡単に説明すると、ミミズコンポストは、ミミズに生ごみを食べてもらい、たい肥を作る仕組みです。
ミミズが生ごみを食べて細かくし、表面積を増やすことによって、微生物の分解を早めます。
ミミズだけではなく微生物が活躍することで、ミミズが生ごみを食べられるようになり、最終的に生ごみを分解してもらえます。
ミミズ、微生物、両方の活躍がなくてはなりません。
作られたたい肥は熟成の必要なく使うことが可能です。
たい肥にはカルシウム、カリウム、リン酸、マグネシウムなどの栄養が豊富なため、植物に良い影響を及ぼします。
『金子みみずちゃんの家』で見るミミズコンポストの仕組み
「金子みみずちゃんの家」はミミズコンポストの専用容器です。
ミミズコンポストを始めるように作られているため、ミミズの管理・育成が簡単にできます。
たい肥の取り出しも簡単なので「ミミズや虫はちょっと苦手だけどエコな取り組みはしたい」という方にもおすすめです。
「金子みみずちゃんの家」は三段構造になっており、一段目はたい肥スペースです。
二段目がミミズの居住区、三段目は空きスペースになっています。
それぞれの階層を詳しく説明していきます。
最下層
一番下の層は足が付いており、他の箱を置けるようになっています。
ここは液肥が溜まるスペースで、蛇口が付いているため、液肥が溜まったら取り出すことができます。
液肥とはミミズのオシッコです。
ミミズのオシッコには窒素が多く含まれており、植物に与えるとぐんぐん成長していきます。
使用する際は液肥を水で10倍に薄めてあげてください。
一段目
一段目は購入したミミズを入れるスペースです。
新聞紙を敷き、シマミミズ300gセットを土ごと入れます。
ミミズは一段目と二段目を行き来して生活します。
二段目には生ごみを入れるため食事のスペース、そして一段目は生活スペースをイメージして頂ければ良いでしょう。
二段目
二段目にも床材(ココナッツ繊維)を入れます。
そして、生ごみを入れて床材を被せます。
金子みみずちゃんの家の二段目はミミズの食事スペースです。
生ごみを与える際は出来るだけ細かくしてあげるとミミズが分解しやすいです。
三段目
三段目は、最初は空箱のまま上に載せて蓋をします。
最初のうちは使いません。
二段目がいっぱいになったら使うようにします。
二段目が満杯になったら
二段目が満杯になったら、三段目に床材を敷いてエサを置くようにします。
二段目の箱がいっぱいになる頃には、一段目のミミズは二段目に移動しています。
一段目にはたい肥が完成しているため、たい肥を取り出して肥料として使うことができます。
まだミミズが一段目に残っている場合、ミミズは日光を避けるため、日光に当てながらたい肥を上から少しずつ取り出せば、下にミミズが固まって残ります。
残ったミミズを優しく二段目に移してあげましょう。
たい肥を取り出した一段目は空箱として一番上に置きます。
このようにたい肥を取り出しては空箱を上に置く、ということを繰り返して、生ごみをたい肥に循環させていきます。
ミミズコンポストの仕組み注目されている理由は?
ミミズコンポストはエコな活動として注目されています。
具体的にどんな理由で注目されているのか、解説します。
環境負荷が少ない
家庭で出るゴミをそのまま処分するとなると、ゴミ処理施設に送られて、焼却処分されるか埋め立てされるかになります。
焼却処分の場合、燃やした時に二酸化炭素が出て環境汚染します。
また、生ごみは水分が多いため、燃やすのに大きなエネルギーを必要とします。
私たちは、生ごみを処分する際、地球環境に大きな負荷をかけています。
一方で、ミミズコンポストはミミズに生ごみを食べてもらうため、二酸化炭素が発生しません。
さらに、処理した生ごみはたい肥になるため、再利用することができます。
有機たい肥を得ることができるため、家庭菜園をしている方にとってはエコで美味しい野菜を育てることができます。
このように環境に負荷が少ないことが、ミミズコンポストの魅力です。
ミミズの糞が植物に良い
ミミズコンポストのたい肥はミミズの糞です。
発酵処理不要の有機肥料です。
化学肥料は土壌汚染にも繋がりますが、ミミズの有機肥料は家庭菜園の野菜や植物にも安心して使用することができます。
ミミズの糞にはリン酸やカリウムが多く、カルシウムも含まれ、ビタミン類も合成されています。
特にカルシウムに関しては、ミミズは石灰線という器官から炭酸カルシウム(アルカリ性)を分泌しているため、酸性に傾いた土壌を弱酸性にして土壌のpHを矯正できます。
このようにミミズの糞(たい肥)は植物に良いため、生ごみを分解した副産物として貴重な存在です。
ミミズの繁殖力が高い
ミミズは繁殖力が高いです。
雌雄同体で、他の個体と交接し、それぞれが子どもを産みます。
一般的に雌雄別の生き物なら、片方だけが子どもを産むため、ミミズは倍の量を生むことができるということです。
一旦交接すれば、数個~数十個の卵胞を一定期間作ることができ、誕生から大人になるまでは約8週間と短い期間なので、条件さえそろえばどんどん繁殖することができます。
ちなみに、ミミズは約0.4gで一日に食べる生ごみは自分の体重の約半分です。
4人家族が出す生ごみの量は約500gと言われています。
約500gの生ごみを処理するためには1kg(2500匹)のミミズが必要です。
ミミズは半年で5~10倍に増えるため、最初500gのミミズでも、半年後には1㎏に増えて、家族4人分の生ごみを処理できるようになります。
このように繁殖力が高いため、すぐに生ごみを処理できる量が多くなることがミミズコンポストの魅力です。
ミミズコンポストでたい肥が作られる仕組み
ミミズコンポストのたい肥は、ミミズの糞を微生物が分解したものです。
微生物が生ごみを分解し、分解された生ごみをミミズが食べます。
ミミズの糞を微生物がさらに分解することで、生ごみはたい肥になります。
ミミズコンポストのミミズはシマミミズといい、私たちが日本で見かけるミミズとは少し違います。
シマミミズはツリミミズ科の表層性種で、主に地面の表層部で落ち葉やたい肥を食べて暮らしています。
このシマミミズをコンポストに使用し、生ごみを食べてもらっています。
植物に必要不可欠な肥料「N・P・K」とは窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)です。
ミミズコンポストのたい肥にはリン酸(P)とカリウム(K)が豊富に含まれています。
植物にとって効果的な肥料になります。
ミミズコンポストで液肥が作られる仕組み
ミミズコンポストの液肥はミミズのオシッコです。
ミミズは表面がぬるぬるしていますが、それがオシッコです。
コンポストでは、染み出てくる液肥を使います。
「金子みみずちゃんの家」では最下層に液肥を取れるスペースがあるため、そこから染み出てきた液肥を使うことができます。
そのままでは濃いため、水で10倍に薄めて使用します。
ミミズコンポストの液肥には窒素が多く含まれます。
植物の必須栄養素である、「N・P・K」のうちの窒素(N)です。
たい肥と組み合わせると必須要素をすべて賄うことができるため、優れたたい肥・液肥になっています。
ミミズコンポストの仕組みでよくある質問
ミミズコンポストの仕組みでよくある質問をまとめました。
ミミズコンポストにはどんなミミズを使う?
ミミズコンポストには「シマミミズ」というミミズを使います。
ミミズコンポスト用に販売されていますが、手軽に手に入れたい場合は、釣具屋さんでエサとして売られているミミズを購入してください。
シマミミズは表層性種といって、地面の表面の落ち葉やたい肥を食べて暮らしている種類です。
私たちが日本で見かけるミミズはフトミミズ科のミミズで、地中の中で暮らしているミミズです。
フトミミズは地中深くに潜って生活し、繁殖力もそこそこのため、コンポストには向いていません。
ミミズコンポストの設置場所は?
ミミズコンポストは屋外でも室内でも設置することができます。
ただし、以下のような場所に置くようにしてください。
- 風通しの良い場所
- 直射日光が当たらない場所
- 振動しない場所
- 0℃~30℃の場所
それぞれ詳しく解説します。
風通しの良い場所
ミミズは100%皮膚呼吸をしています。
そのため、適度な水分が必要なものの、水分が多すぎると窒息死してしまいます。
水分が少なすぎると干からびてしまうため、湿度60%~70%のじめっとした状態が好ましいです。
水分は霧吹きなどで補充してあげましょう。
夏は暑さに弱く、35℃を超えると死んでしまうため、風通しの良い場所に設置するのが適しています。
直射日光が当たらない場所
ミミズは暑さに弱い生き物です。
快適に過ごせる温度は10℃~28℃ですが、35℃を超えると死んでしまいます。
直射日光がコンポストに当たると、内部の温度はすぐに高くなります。
特に夏場は館ラタンに35℃を超えてしまうため、ミミズが全滅する可能性があります。
日陰に置く、日よけを使うなどして、直射日光が当たらないようにしましょう。
振動が発生しない場所
ミミズは振動に敏感です。
振動があると脱走の原因になります。
振動が発生しない、静かな場所に置くようにしましょう。
0℃~30℃の場所
ミミズの快適温度は10℃~28℃です。
35℃を超えると暑さで死んでしまいます。
逆に0℃を下回ると、ミミズの体はほとんどが水分のため、凍って氷眠してしまいます。
そのため、コンポストを置く場所の温度には気を付けましょう。
屋外に置いている方も、夏や冬は温度や湿度が比較的落ち着いている室内に入れるなどすると良いでしょう。
ミミズコンポストを手軽に始めるなら専用コンポストがおすすめ
ミミズコンポストの仕組みについて解説してきました。
ミミズコンポストは用意する物が少ないため、気軽に始められます。
より手軽に始めたい方は「金子みみずちゃんの家」のような専用コンポストを使うのがおすすめです。
ミミズコンポスト用に作られた容器のため、失敗も少なく、たい肥も取り出しやすいです。
仕組みについて理解できたら後は始めるだけです。
「金子みみずちゃんの家」でミミズコンポストを始めましょう。