
ミミズコンポストに興味がある方が躊躇するのが、容器問題についてではないでしょうか。
まずお試しで始めてみたい方は「専用容器をわざわざ買うのは気が引ける…」とお考えでしょう。
そんな方におすすめなのが、植木鉢で始めるミミズコンポストです。
自宅に余っている植木鉢でできてしまうので、容器に費用を割かなくても始めることが可能です。
また、「臭いが出ないか心配」「虫が寄ってこないか不安」といった悩みも多いですが、工夫次第で快適に運用できます。
この記事では、植木鉢でミミズコンポストを始める方法を、メリット・デメリットも含めて詳しく解説していきます。
植木鉢でミミズコンポストは可能!余っている植木鉢がある方にもおすすめ

植木鉢でミミズコンポストを始められるのか、疑問に思った方も多いと思いますが、植木鉢でも作ることができます。
底に排水穴が空いているため、別途穴を開ける必要もありません。
素焼きの植木鉢の場合は、湿度もちょうどよくしてくれるため、湿度管理も難しくないのがポイントです。
特に使わなくなった植木鉢が家にある方なら、初期投資を抑えることができるため、ミミズコンポストを始めるハードルもぐっと下がります。
新しく専用の容器を購入する前に、まずは植木鉢でお試し運用してみるのも一つの手です。
植木鉢でミミズコンポストを運用するメリット

ここでは植木鉢でミミズコンポストを運用するメリットについて解説します。
メリットは、次の3つです。
- 底に穴が空いているため液肥を回収できる
- 素焼きの場合湿度がちょうどよく保たれる
- 余っている植木鉢ならローコストで始められる
ここからは、各メリットについて詳しく見ていきましょう。
底に穴が空いているため液肥を回収できる
植木鉢には排水穴が空いています。
ミミズコンポストも排水穴を開けることによって、ミミズの液肥を収穫できる仕組みになっています。
液肥とは、ミミズの分泌液や分解生成物が混ざった水分です。
栄養たっぷりなので、水で薄めて植物に与えると良く育ちます。
植木鉢は初めから排水穴が空いているため、穴を開ける手間がなく、下に受け皿やバケツを置いておけば、簡単に液肥が集まります。
ガーデニングや家庭菜園を行っている方にはおすすめです。
素焼きの場合湿度がちょうどよく保たれる
素焼きの植木鉢は、保湿性と通気性に優れています。
ミミズコンポストにとって、湿度管理は重要なポイントですが、素焼き鉢なら過剰な湿気を適度に逃がしてくれるため、ミミズにとって快適な環境を維持しやすくなります。
例えば、プラスチック製の容器の場合、湿気がこもりやすく、ミミズが弱ってしまうこともあるため、素焼き鉢の利点は大きいでしょう。
通気性もミミズコンポストにとっては重要で、空気が回らないと臭いが出てしまうことがあります。
通気性が高い素焼き鉢は臭い対策にも効果的です。
余っている植木鉢ならローコストで始められる
家に使わない植木鉢があれば、再利用することで、容器代はコストゼロになります。
市販のコンポスト容器を買うと数千円~3万円以上かかることもありますが、植木鉢ならその分を浮かせることができます。
床材代やミミズ代はかかってしまいますが、容器が最も大きなコスト要因となるため、植木鉢であれば大幅に費用を抑えることが可能です。
ベランダの隅に眠っている鉢を使えば、環境にもお財布にも優しいエコライフがすぐにスタートできます。
植木鉢でミミズコンポストを運用するデメリット

便利な植木鉢コンポストですが、当然ながらいくつかのデメリットも存在します。
始める前にきちんと理解しておくことで、失敗を防ぎやすくなります。
植木鉢でミミズコンポストを運用するデメリットは、以下の3つです。
- 容量が小さいため大量の生ごみ処理には向かない
- たい肥とミミズを分ける作業が大変
- 脱走対策が必須
以下からは、各デメリットを詳しく見ていきましょう。
容量が小さいため大量の生ごみ処理には向かない
大きい植木鉢なら大丈夫ですが、手ごろサイズの鉢の場合、容量が限られているため大量の生ごみ処理には向きません。
特に家族の人数が多い家庭では、生ごみを処理しきれず、腐敗して悪臭を放つ失敗もあります。
1日で出る生ごみの量が多い家庭の場合は、植木鉢を複数用意するか、別の容器を検討した方が良いでしょう。
たい肥とミミズを分ける作業が大変
コンポストが完成した後、できたたい肥とミミズを分ける作業が手間になります。
専用容器の場合、ミミズが移動する仕組みが備わっているため、たい肥を簡単に収穫することができます。
しかし、植木鉢はそういった仕組みがないため、手作業で丁寧に分けなくてはなりません。
例えば、ふるいにかけてミミズとたい肥を分けていく方法などが必要になります。
ミミズを触るのはちょっと苦手という方は、植木鉢のミミズコンポストは向いていないかもしれません。
脱走対策が必須
植木鉢だけだと、上からミミズが脱走してしまうリスクもあります。
特に、湿度が合わない場合やエサが好みでない場合など、ストレスがたまった時に大脱走が繰り広げられることもあります。
鉢の上に洗濯ネットを被せる、ふたをするなど、対策をすれば脱走は防げるため、工夫しましょう。
虫や臭いのトラブルも発生しやすい
生ごみを入れすぎると、嫌な臭いがすることがあります。
嫌な臭いが出る場合は、しばらく投入をやめて通気性を確保し、様子を見ましょう。
万が一、コバエなどの虫が発生した場合は、新聞紙や段ボールなど乾燥した炭素資材を追加することで改善されやすくなります。
湿度が高すぎるとカビや腐敗の原因になるため、通気と湿度のバランス調整がポイントです。
植木鉢でミミズコンポストを始める6STEP

植木鉢でミミズコンポストを始めるのは意外と簡単です。
ここでは、具体的な手順を5つのステップに分けてご紹介します。
- STEP1:植木鉢の底に防虫ネットを敷く
- STEP2:植木鉢に床材を入れる
- STEP3:シマミミズを入れる
- STEP4:濡れた新聞紙を被せる
- STEP5:蓋(ふた)をして洗濯ネットを被せる
初めての方でも安心して進められるよう、詳しく解説していきます。
まずは、準備です。
次の物を用意しておきましょう。
- 植木鉢
- 受け皿
- 防虫ネット
- 床材(腐葉土やココナッツ繊維など)
- シマミミズ
- 新聞紙
- ふた
- 洗濯ネット
こうした道具を揃えたら、順番に作業を進めていきましょう。
STEP1:植木鉢の底に防虫ネットを敷く
植木鉢の底には水抜き用の穴がありますが、そのままだとミミズが外に出てしまう可能性があります。
そのため、底に防虫ネットを敷いてミミズの脱走を防ぎましょう。
このネットは、害虫の侵入防止にも効果的です。
鉢底ネットやキッチン排水口用のネットを利用しても問題ありません。
STEP2:植木鉢に床材を入れる
次に、植木鉢に床材をセットします。
腐葉土やココナッツファイバー、または細かくちぎった新聞紙や段ボールなどを使用できます。
床材は軽く湿らせるのがポイントで、ぎゅっと握ったときに水が少し染み出るくらいが理想的です。
ミミズにとって快適な湿度はおよそ60〜70%といわれています。
STEP3:シマミミズを入れる
湿らせた床材の上に、シマミミズをそっと放します。
ミミズは自然に床材の中へ潜っていくので、無理に押し込む必要はありません。
ミミズの量は鉢のサイズに合わせて調整しましょう。
一般的には、直径30cmの植木鉢なら100〜150匹(約50g程度)が目安です。
釣具店で少量から購入できるので、インターネット通販以外の選択肢もあります。
なお、4人家族の1日あたり500gの生ごみを本格的に処理する場合には、1kg(約2500匹)程度のミミズが必要になるとされています。
STEP4:濡れた新聞紙を被せる
床材とミミズの上から、しっかり湿らせた新聞紙を重ねて覆います。
新聞紙は保湿と遮光の役割を果たし、ミミズの快適な環境を守ります。
2〜3枚重ねるとちょうどよい厚みになります。
新聞紙が乾燥しないよう、適宜湿らせながら管理しましょう。
STEP5:蓋(ふた)をして洗濯ネットを被せる
最後に、植木鉢に蓋をして、その上から洗濯ネットをかぶせます。
こうすると、ミミズの逃走を防ぎ、害虫の侵入も防止できます。
植木鉢専用の蓋がない場合は、プラスチックトレーなどを代用するのもおすすめです。
さらに、ミミズが落ち着けるようにするために、ふたの下に遮光シートや黒い蛇腹のシート(フレコンパッキンなど)を使うと効果的です。
光が苦手なミミズにとって、暗くて静かな場所はとても大事な環境になります。
こうした蓋をかぶせておくと、ミミズが安心してすごせるようになります。
完成したコンポストは受け皿の上に置いて、液肥を自然に回収できるようにしておきましょう。
液肥は、そのままだと栄養が強すぎて、植物が弱ってしまうことがあります。
したがって、水で10倍くらいに薄めて使うのがおすすめです。
また、使わなかった液肥をトイレや排水口に流すのはやめましょう。
こういった水は「生活排水」として、きちんとした処理が必要になります。
できるだけ自然にしみこませたり、土に戻したりするなど、工夫して使ってください。
植木鉢ミミズコンポストでのたい肥の収穫方法

ミミズが生ごみを食べ終え、黒くてふかふかした土のようなものが鉢の中に増えてきたら、それがたい肥の完成サインです。
一般的には、生ごみの投入から1〜2か月程度が目安とされていますが、気温や湿度、エサの種類によっても前後します。
たい肥を収穫する際には、ふるいなどを使ってミミズを丁寧に分けましょう。
採取したたい肥は、すぐにプランターや花壇に使うことができます。
残ったミミズは再び植木鉢に戻して、次の生ごみ分解に活かしましょう。
植木鉢+プランターでの循環型ミミズコンポストの作り方

植木鉢とプランターを組み合わせれば、循環型のミミズコンポストも作成できます。
植木鉢はコンポスト容器として、プランターでは植物の育成を行うことで、たい肥を無駄なく活用できる仕組みです。
まず、以下の道具を準備しましょう。
- 植木鉢
- プランター
- 防虫ネット
- 床材(腐葉土やココナッツ繊維など)
- シマミミズ
- 植木鉢の蓋
- ノコギリ
こうした道具を使って、次の手順で循環型コンポストを作成していきます。
続いて、循環型ミミズコンポストの作り方をステップごとに見ていきましょう。
STEP1:植木鉢の底を切る
まず最初に、ノコギリを使って植木鉢の底部分をカットします。
この作業により、ミミズがプランターと植木鉢を自由に移動できるようになります。
底が硬い場合もあるので、怪我をしないよう十分に注意しながら作業してください。
STEP2:プランターの底に防虫ネットを敷く
続いて、プランターの底全体に防虫ネットをセットします。
これにより、ミミズの脱走と虫の侵入を防ぐことができます。
プランターを使う場合でも、防虫対策は必ず行いましょう。
STEP3:プランターに床材を入れる
防虫ネットを敷いた後、プランターに床材を湿らせて投入します。
腐葉土やココナッツ繊維を使用する際は、未処理のものを使うとミミズに悪影響を与えるため、あく抜き済みのものを選びましょう。
床材はたっぷりめに入れると、ミミズにとってより快適な環境になります。
STEP4:床材の上に植木鉢を置きミミズを入れる
床材を入れたプランターの中央に、底を切り取った植木鉢を設置し、その中にミミズを投入します。
すぐに生ごみを入れるのではなく、1週間ほどミミズを新しい環境に慣らしてから生ごみの投入を始めましょう。
ミミズコンポストには、野菜くずや果物などのほかに、少しの肉や魚も入れることができます。
しかし、肉や魚をたくさん入れすぎると、においが出たり、虫が寄ってきたりしてトラブルの原因になります。
ミミズが食べきれるくらいの少量を、何回かに分けて入れるようにしましょう。
うまく使えば、肉や魚はたい肥に含まれる窒素を増やすので、良いたい肥ができます。
STEP5:植木鉢に蓋をして完成
植木鉢にふたをして、脱走や虫の侵入を防いだら完成です。
さらに、プランター部分に寄せ植えをすることで、ミミズが作った堆肥をダイレクトに植物の栄養として活用できます。
たい肥とミミズをわざわざ分ける必要もないため、コンポストとガーデニングを一緒に楽しみたい方にぴったりの方法です。
たい肥を自分の家の家庭菜園などで使うだけなら、特に問題はありません。
しかし、たい肥を人にあげたり、売ったりする場合は、「肥料の品質の確保等に関する法律(旧・肥料取締法)」を守らなければなりません。
たい肥を他の人に渡すときに、決められた書類を出したり、内容を表示したりする必要があることもあります。
人にたい肥をあげたいと思ったら、農林水産省や住んでいる地域の役所に確認しておくと安心です。
植木鉢だと失敗することも・・・ミミズコンポスト専用容器を使うのがおすすめ


植木鉢は手軽にミミズコンポストを始められる方法ですが、専用の容器ではないため、失敗もしやすいです。
例えば、通気性が良すぎて湿度が足りなくなったり、生ごみをなかなか分解してくれなかったりして、失敗してしまうことがあります。
失敗したくない方、成功率を上げたい方は専用容器を使うのがおすすめです。
「金子みみずちゃんの家」はミミズコンポストの専用容器です。
ミミズが過ごしやすい環境のため、コンポストとして成功しやすいです。
ミミズは自然と上の階層に移動してくれるため、ミミズを触るのが苦手な方にとっても、たい肥を簡単に取りやすくなっています。
液肥受けも付いているため、簡単に液肥を集めて、ガーデニングや家庭菜園に使うことも可能です。
植木鉢でミミズコンポストを始めて、もっと大きなコンポストにしたい方にも、容量があるためおすすめです。
植木鉢を使ってミミズコンポストを始めよう!

植木鉢でミミズコンポストを始めるメリット・デメリットと、実際に始め方の手順をご紹介しました。
植木鉢で始めるミミズコンポストは手軽で、家に余っているものを使えばローコストで始めることができます。
植木鉢は見た目も庭やベランダにマッチするため、いかにもコンポストという感じがしないのも良い点です。
しかし、大きさにもよりますが、一般的なミミズコンポスト容器に比べて小さいため、処理できる量には限りがあり、生ごみが多い家庭では不向きなのが残念な点です。
多くの生ごみを処理したい場合は、植木鉢を増やしてみるなどの方法が効果的でしょう。
植木鉢を使ってローコストに、エコな暮らしを始めましょう。