ミミズコンポスト

2024/11/28

ミミズ堆肥の作り方の手順などを詳しく解説!

ミミズを使って家庭から出る生ごみから、家庭菜園や花壇などで使える堆肥を作ることができます。

ミミズは土といっしょに生ごみを食べて、代わりに窒素やカルシウム・リン酸・カリウム・マグネシウムなどのミネラルを含んだ団粒構造のミミズ堆肥を排出してくれるからです。

この記事では、これからミミズ堆肥作りを始めてみたいという方に向けて、ミミズ堆肥の作り方やミミズ堆肥作りの際によくあるトラブルの対処法などについて詳しく解説します。

ミミズ堆肥の作り方は大きく3種類

ミミズ堆肥の作り方を大きく分けると次の3種類があります。

  • コンポスト容器を使って作る
  • 地中に穴を掘って作る
  • 大規模堆肥場で作る

以下で、それぞれについてくわしく解説します。

①コンポスト容器を使って作る

コンポスト容器の中に土とミミズを入れておき、その中に家庭から出る生ごみを投入してミミズに食べさせてミミズ堆肥を作ることができます。

コンポスト容器に何を使うのかによっていくつかの方法があります。

市販のコンポスト容器

市販されている通常のコンポスト容器を使ってミミズ堆肥を作る方法です。

一般的なコンポスト容器は、生ごみや落ち葉などの有機物を微生物の力で分解して堆肥を作りますので、ミミズから堆肥を作ることを考慮したものとはなっていません。

この通常のコンポスト容器を使ってミミズ堆肥を作ることはできますが、ミミズの生育に適した環境を作ってそれを維持したり、ミミズコンポスト特有の液肥を回収するための工夫が必要になります。

また、液肥を回収することができたとしても、不純物が混じっていたりして使用する際に問題となる場合もあるようです。

自作のコンポスト容器

コンポスト容器を自作してミミズ堆肥を作る方法です。

たとえば、プランターなどを使うことができ、この方法のメリットは低価格なことです。

プランターなどの中に土とミミズを入れてミミズの生育に適した環境が作れれば、ミミズが生ごみを食べて堆肥となる糞をしてくれるようになります。

しかし、ミミズの生育に合った生育環境にするための知識と工夫が必要となりますので、初心者には敷居が高くなります。

家庭用のバケツやケース

家庭用のバケツや衣装ケースなどの身近なものを使ってミミズ堆肥を作る方法です。

身近にあるものを使いますので、この場合も低価格で始めることができます。

バケツや衣装ケースの中に土とミミズを入れて適切な環境を作ることができれば、ミミズが生ごみを食べて堆肥となる糞をしてくれて堆肥が作れるようになります。

やはりこの場合も、ミミズに合った生育に合った環境を作るためにはそれなりの知識と工夫が必要となります。

ミミズ専用のコンポスト容器

ミミズ専用のコンポスト容器を購入して、ミミズ堆肥を作る方法です。

コンポスト容器やミミズ専用の土、ミミズなどがすべてセットになったものが販売されていますので、初心者にはこれがおすすめです。

ミミズ専用のコンポスト容器だけを購入して、別に土やミミズを購入することもできます。

セットの場合は必要なものがすべて揃っていますので、購入して説明書に従って組み立てるだけでミミズ堆肥作りが始められるという簡便さが大きなメリットです。

他のよりは高額になりますが、結果的に失敗が少なくなりますのでおすすめできます。

車輪付きのコンポスト容器

移動がしやすいように車輪がついたコンポスト容器を使う方法です。

夏場は涼しい場所、冬場は暖かい場所に移動して適切な温度管理がしやすいのがメリットです。

②地中に穴を掘って作る

地中に穴を掘ってミミズを飼育してミミズ堆肥を作ることも考えられます。

しかし、ミミズ堆肥に使用されるシマミミズは表層性種という種類のミミズですので、土の中での生育には適していません。

また、ミミズ堆肥ができた場合も、穴の中からミミズ堆肥を取り出す必要があるため、体力が必要になるなどの問題も発生します。

③大規模堆肥場で作る

大規模農家や自治体などが運営する大規模堆肥場では有機物を分解させて堆肥を作っています。

堆肥には、家畜のフンから作る動物性堆肥と雑草や落ち葉などから作る植物性堆肥がありますが、近年ではミミズを使ってミミズ堆肥を作っているところもあります。

ミミズ堆肥の作り方の手順(コンポスト)

3種類の中で最も一般的なコンポスト容器を使った場合の手順を解説します。

ここではミミズ専用のコンポスト容器として有名な「金子みみずちゃんの家」を使ったミミズ堆肥の作り方を解説します。

必要な材料、道具、ミミズを準備する

「金子みみずちゃんの家」を購入すると、多段構造になったミミズコンポスト容器やミミズ専用の土、ミミズなどの必要なものがすべて揃っています。

ミミズコンポストを準備する

「金子みみずちゃんの家」が手元に届いたら、まずコンポスト容器の組み立てをします。

説明書を見ながらやれば誰でも簡単に組み立てることができます。

しかし、組み立ての順序を間違えるとやり直しになりますので、説明書をよく読んで組み立てるようにしましょう。

容器の組み立て

まず、最下段の脚材をセットし、脚材の下部の液肥取り出し用の液肥口の下に液肥を受ける「計量カップ」を置きます。

脚材の底面には黄色い「脱走防止スポンジ」を敷いて、ミミズが液肥口から脱走するのを防ぎます。

「脱走防止スポンジ」はジョウロなどで水をかけて少し濡らしておきます。

床材の準備

床材として「ココナッツ繊維」が付いてきますので、1段目に底に新聞紙を敷いてから入れます。

2段目には新聞紙は敷かずにそのまま「ココナッツ繊維」を入れます。

ミミズの投入

ミミズは、1段目の床材「ココナッツ繊維」の中に500g全部を投入します。

1段目の床材は山盛りになるように多めに入れて、2段目の底と密着するようにすると底に開いた穴を通ってミミズが上がってきて生ごみを食べます。

ミミズコンポストにはシマミミズを使う

ミミズの種類は非常に多く日本に約180種類もいますが、生ごみを食べてくれるミミズは表層性種のシマミミズだけです。

畑の中でよく見かけるフトミミズなどを使っても、生ごみを食べてくれませんので堆肥化が進みません。

生ごみの投入

ミミズコンポストの2段目に生ごみを投入して、床材をかぶせます。

基本的にはほとんどの生ごみがエサになりますが、野菜くずや果物の皮などが好物です。

肉や魚も好物ですが、害虫対策やにおい対策が必要となります。

入れてはいけないものもあるので注意

ミミズは自然由来の有機物であればほぼ何でも食べてくれますが、柑橘系(オレンジやレモンなど)、ネギ類(玉ねぎやにんにくなど)、油は苦手です。

特に、絶対に入れてはいけないものは次のようなものです。

  • 水以外の液体(ジュース、牛乳、味噌汁など)
  • 味付けが濃いもの
  • 刺激物(唐辛子、わさび、しょうがなど)

維持管理

ミミズコンポストは設置したままではなく適切に維持管理する必要があります。

管理のポイントは、適切な温度と湿度を維持することです。

コンポスト内の温度はミミズの活動が活発になる10℃から28℃を保つことが必要です。

気温が30℃以上になる夏場は、風通しを良くして水をかけて気化熱で冷やすようにしましょう。

湿度はミミズの生育に適した60%から70%のジメッとした状態が適切ですが、ミミズは皮膚呼吸をしていますので水がたまった状態にならないように管理する必要があります。

霧吹きなどを使って床土を湿らせて、水がたまった状態にならないように裂いた新聞紙などを入れて水分を吸わせて調整するようにしましょう。

堆肥と液肥の収穫

コンポスト容器の中がミミズ堆肥でいっぱいになったら取り出します。

容器の大きさやミミズの数にもよりますが、3か月に1度程度です。

また、液肥は脚材の下部の液肥口から「計量カップ」にたまりますので、都度収穫して約10倍に薄めて、家庭菜園や花壇などにかけるようにしましょう。

ミミズ堆肥を作る際によくあるトラブルと対処法

ミミズ堆肥を作る際によくあるトラブルは次の4つです。

  • ミミズが途中で死んでしまった
  • 悪臭がひどい
  • 害虫が多い
  • ミミズが全然増えない

これらのトラブルへの対処法について、以下にまとめました。

ミミズが途中で死んでしまった

ミミズが死んでしまう原因はいくつか考えられます。

ミミズは皮膚呼吸をしていますので、水が溜まり過ぎると窒息死してしまいます。

水をかけ過ぎないようにして、新聞紙などを入れて水を吸わせて水分を調整してください。

コンポスト内が30℃を超えるような高温になると死んでしまうことがあります。

夏場は風通しの良い涼しい場所に移動して、水をかけて冷やすようにすると良いでしょう。

悪臭がひどい

ミミズコンポストの状態が良い場合は森林の中と同じような香りがします。

もし、悪臭がひどい場合には、無酸素バクテリアの発生が考えられますので、床土をシャベルなどでかき混ぜて空気(酸素)を入れてやると数日で臭いが消えます。

害虫が多い

害虫の発生は、土のpHバランス(酸性とアルカリ性のバランス)の崩れが原因となって起こります。

生ごみを入れ過ぎないように注意して、生ごみの中に多量の肉や魚が入っている場合は量を減らすようにしましょう。

また、土のpHは酸性に偏りがちなため、定期的に石灰(細かく砕いた卵の殻)をまいてpHバランスを整えるようにして下さい。

ミミズが全然増えない

ミミズを増やすためには、コンポスト容器内の生育環境を適切に保つことが重要です。

一番大きなポイントは温度管理で、適切な生育温度10℃~28℃に保ち、適温24℃程度に近づける必要があります。

この温度範囲から外れるとミミズの活動が鈍くなり繁殖も悪くなります。

ミミズ堆肥・液肥を作ってより豊かな土壌にしよう!

本記事では、ミミズ堆肥の作り方やミミズ堆肥作りの際によくあるトラブルの対処法などについてくわしく解説しました。

ミミズコンポストを導入すると、家庭から出る生ごみから良質なミミズ堆肥や液肥を作ることができ、家庭菜園や花壇の土壌を豊かにすることができます。

つまり、家庭規模で生ごみ削減のエコリサイクル活動ができるようになります。

ミミズ堆肥の作り方にはいくつかの方法がありますが、一番手軽に失敗なく始められるのは、ミミズ専用のコンポスト容器を購入する方法です。

その中でも、ミミズ堆肥の作り方の手順の説明の際に例に挙げた「金子みみずちゃんの家」は、必要なもの(専用コンポスト容器、土、シマミミズ)がすべてセットになっていますのでおすすめです。

「金子みみずちゃんの家」を購入して説明書通りにやればほぼ失敗なく、ミミズ堆肥・液肥作りを始めることができます。